小説 火星よりI(アイ)をこめて
「宇宙航行許可証の確認終了です!お気をつけて良い宇宙の旅を!」
「ありがとう。」
英一は、ホワイト・ロック・エンジェルの窓から、大きく手をふった。そして、HRA号は、静かに推進剤を吐き出して、宇宙ステーションから離れていった。
シュッー、シュッ
星屑と漆黒の闇の間で、HRA号は、ゆっくりと弧を描くように進んでいく。
そして、HRA号の目指す先には、大きな赤い荒野と人類の第二の居住権惑星 「火星」が ひっそりとかつ雄大な姿で彼らの到着を待っていた。
「翔子・・・・俺は、とうとうここまでこれた。やれたんだ!」
英一は、これまでの自分の人生を振り返っては、誰もいない船内で呟いていた。
「宇宙飛行士になりたいの?数学もできないのに?」
「馬鹿にするなよ。俺はこれでも数Ⅲまで習ったんだぞ!」
「自慢じゃないね。それ。結局私立で落ち着いたんでしょ。」
「だって五科目なんてできないし・・・・」
「いいわけは止めなさい。見苦しい。」
「でも、俺は宇宙飛行士の夢をあきらめられない。だから、見守ってくれ!」
「とりあえず、就職はしてね。それじゃないと結婚してあげない!」
「し、翔子ぉ~~~」
妻翔子との甘い蜜月の日々が英一の脳裏に駆け巡り、思わず目頭が熱くなるのを実感していた。
「俺が・・・・・こんなになれたのも、翔子が見捨ててくれなかったおかげだ。大好きだよ・・・」
持ってきた写真は、涙でぐしゃぐしゃに汚れていた。
しかし・・・・彼は、まだ気づいていなかった。
彼が向かう火星では、今、とんでもないことが起こっていたということに・・・・・・・
続く・・・・・かも?





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