小説 レジスタンス オブ ホスト 18
「遅いじゃないか清水!お前のせいで俺の仮眠時間が少なくなるんだぞ!」
警備員に扮した三神竜也は、ホテルの地下駐車場入り口前で、ベテラン警備員から怒号を浴びせられた。勤務交代時間に遅れたからだ。
「・・・すいません。最近下痢気味で。」
「ったく・・・・お前もすぐ辞める口か?」
「へ?」
予想していない質問をぶつけられて、竜也は一瞬口ごもった。
「いや・・・辞めませんよ。でもなんでそんなこと聞くんです?」
「若い奴らは大体すぐ辞めていくんだよ。精神的にも肉体的にもつらいからな。ま、そのおかげで俺らみたいなのが失業しなくてすんでるんだからいいことなのかもな。」
男は、胸ポケットからタバコを一本取り出すと、口にくわえた。
「そ、そうですよ。で、なんか引き継ぐことはありますか?」
竜也はこの男と会話するのがめんどくさくなって、話題を元に戻した。
「ああ。特に何もないよ。」
「了解です。」
竜也は、小さくなってタバコに火をつけている男の前に立つと、目の前にある道路の左右を確認した。
「異常なし・・・・ですね。車も人の影もないなんて・・・」
「んにゃ、さっき一台地下駐車場に入っていったぞ。」
竜也の耳は、男の言葉を聞き逃すことはなかった。
「何時ごろです?」
竜也は素早く言葉を返す。
「一時間前くらいかな・・・黒のセダソがこっちの誘導を無視して、もの凄いスピードで入っていったのは・・・・あれはびっくりしたよ。」
「窓にはスモークは張ってあったんですか?」
「一瞬だったからな・・・・そこまでは・・・・・」
「そうですか・・・・・」
竜也の声のトーンが、低くなった。
「ま、そんだけだ。何か事件でも起こったら、その携帯無線機で知らせてくれよ。ほとんど使ったことはないけどな・・・」
男はアスファルトでタバコの火を消すと、竜也を背に歩き始めた。
「あの・・・・」
「何だ?まだ、何かあるのか?」
男は、竜也に顔を向ける。
「名前・・・・・なんて呼べばいいんですか?あだ名とか嫌いですよね?」
男は、はじめ竜也の言葉の意味がよくわからず、少しの間黙っていたが
「ああ・・・・そうか・・・・そうだな・・・・・飯嶋って何か堅い名前だよな・・・・・・・・康(やっ)さんでいいよ。みんなそう呼んでる。」
飯嶋は、ヤニだらけの歯を見せた。
「康さん、これからもよろしく!」
竜也は そう 答えた。


最近のコメント