小説 R・O・H(レジスタンスオブホスト)15
「そろそろ交代の時間だけど・・・・・変わりますか?」
「いや・・・・・いい。寒いだろ?」
「若いから大丈夫ですよ。こっちは監視カメラの映像と睨めっこし続けて、目が痛いんで・・・」
30台近くの小型テレビ画面が、狭い警備室の暗闇の中で、ぼーっと警備員の顔を青白く浮かび上がらせていた。
「あと一時間したら交代だろ?それまで待てよな。」
「退屈してんですよ。不審者なんてカメラに映りませんから。映画じゃあるまし。」
「こっちも異常なし。いつものことだ。」
「功さんは悪戯しても起きないですしね・・・・よく眠れるよ。」
「寝かせてやれよ。若くないんだから。」
「まったくやりがいなんてありゃしない・・・・・・携帯だって圏外なんだから・・・」
「しりとりでもするか?」
「冗談・・・・あ、ちょっと席はずします。」
「何だ?誰かいたか?」
「違いますよ。トイレです。」
「いちいち言わなくていいよ。そんなこと。」
「へいへい。」
清水は、警備服のまま、部屋をでた。胸には、無線機をつけたままである。
「来週で辞めようかな。契約社員じゃこの先不安だしな・・・・」
男子トイレに入ると、一番奥の個室のドアが閉まっていることに、彼は気がつかなかった。
「30になっても続けられる仕事じゃないな・・・・・まったくさ・・・」
小便の湯気が、顔を覆うのがたまらなく不快であった。
そして彼の後ろで、音もなく、個室のドアがゆっくりと開き始めた。彼は、まだそのことを認識してはいない。
「強盗でも侵入してくれば、俺がかっこよく・・・・・」
最後の言葉は、かき消された。とゆうより出せなかった。
彼は脊髄で、細く長い突起物が当たる感触を感じ取った。
カチャ
声が出なかった。出せなかった。
「!?」
「喋るな!」
低く鋭い声が、清水の耳をとおって脳髄に響き渡る。
「振り向くな、じっとしてろ。」
清水の背中にさらに強く、何かが押し付けられていった。


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