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2007年10月

小説 レジスタンス オブ ホスト 6

黒ずくめの男は、ポケットから何かを取り出すと、それを自分の座っているベンチのよこにそっと置いた。

「・・・・・・・・・・・」

右手をヘルメットの横に当てて、男はじっとベンチに座ったまま、動かなかった。

「・・・・・・・ですから、私はなにもしていませんよ。これは善意で行っているのですよ?」

男の耳の中に装着されたイヤホンから、人の声が流れ出す。

「ですが、私に見返りを期待しているのではありませんか?」

「そんなことはありませんよ。ただ・・・・」

車の音でかき消されるぐらいの声で、男達は何かを喋っているようだった。

「私達に仕事をくれませんか?あなたの現在の地位なら便宜を図ることも可能でしょう?」

「私が?」

「地方のサッポロ市と言えど、格差は他人事ではないのです。若者は東京に行って帰ってこないし、自衛隊員になる者も多いのですよ。」

「確かに衣食住は保証してくれるでしょうね。」

「ですから我がシング商社の新兵器開発の件をよろしくお願いします。今のままでは社員を解雇しなくてはならなくなってしまいます。」

「善処できるとは思えませんが、できるかぎりは・・・」

「よろしく。」

黒ずくめの男は、立ち上がった。

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小説 レジスタンス オブ ホスト 5

11月6日 午前1時 サッポロ市大通り公園付近にて

その日、初雪を終えたサッポロの街は、人通りも少なく静かな夜であった。これからやってくる厳しい冬に備え、住人達はやっておかなければならない仕事に追われているのだ。

公園は、そんな事とは無縁のホームレスや酔いを覚ましているサラリーマンや、真実の愛を語りあっているカップルたちの集会所として、利用されている。そんな夜であった。

そんな夜に限って、事件は起こった。

一台のバイクが、公園の入り口に止まったのだ。

そのバイクに乗っていた人影は、しばらくの間、頭を横に振り公園の様子をうかがっているそぶりを見せた。

そして、エンジンをカットしてバイクを公園の木の茂みに入れると、人影は、ゆっくりと足音を立てずに公園の中へ進入していった。

ブラックのつなぎのスーツと、ヘルメットかぶった、その人らしきものは、近くのベンチに腰を下ろして、そのまま動かなかった。

遠くでは、救急車のサイレンの音が、夜の闇を切り裂くように、鳴っていた。

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小説 レジスタンス オブ ホスト 4

ピンポーン!

龍也のマンションの一室に、チャイムの音が鳴り響く。

「さっきの宅急便の人じゃない?」

ソファの上で、雑誌を片手に女が口を開く。

「そうみたいだな。」

龍也はまっすぐ廊下を抜け、ゆっくりとレバーを引いた。

「三神・・・・・龍也さんのお宅ですか?お届けものです。」

「ああ・・・ご苦労様。印鑑はありますよ。」

「全部で5つ、すべて割れ物ですがよろしいですか?」

「すいません。マンションの五階まで運んでいただいて。」

「い~え。こちらもエレベーターで運んでいたから大した労力は使ってませんよ。」

キャップを被りなおし配達の青年は、にこっと笑顔を返す。

「はい・・・・これでいいですね?」

「ありがとうございました!またよろしく!」

振り子のようなお辞儀をして、青年は大きな音も立てずにドアを閉めた。

「なんか届いたの?店で使うお酒?」

女は、廊下に無造作に置かれたダンボールの山を見て言った。

「そんなもんだよ。ようやく試作品が届いたんだ。」

「へぇ~」

女はそういうと、冷蔵庫の中をまさぐっていた。

「やっと・・・・できたんだ・・・・・俺の・・・・・・・武器が・・・・」

女に聞かれないように、龍也はそっと呟いた。

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小説 レジスタンス オブ ホスト 3

「ターゲットはKだけに限定する。Sはいい。やつらはどうにでもなるからな。」

龍也は、自宅から3キロ離れた小さな公園で矢崎と顔を合わせた。

「フレキシブル・アーマーの生産ラインはどーなってる?工場と折り合いはついたのか?」

「ああ。最初は信用されなくて大変だったが、袖の下を使ったら黙ってうなずいたよ。」

龍也は、銀のジッポーのふたをゆっくり指で弾いた。一筋の閃光が、彼の顔をゆっくりと照らしていく。

「使いこなせるか?ホストのメンバーだけじゃ東京を占拠することもできやしないぜ?」

「若い連中で世の中に不満のあるやつらをあつめるさ。とくにゲームや格闘技経験のあるやつらをな。」

タバコの煙が、夜のススキノの街をゆっくり通り抜けていく。

「北海道は、地理的にいい。お上の監視が届かない場所は、歴史的に見て反乱勢力が結集するのには最適だな。」

矢崎は、黙って龍也の背中を見つめるだけだった。

「・・・・・・・・」

男達は、しばらく、何も喋らなかった。

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