小説 レジスタンス オブ ホスト 6
黒ずくめの男は、ポケットから何かを取り出すと、それを自分の座っているベンチのよこにそっと置いた。
「・・・・・・・・・・・」
右手をヘルメットの横に当てて、男はじっとベンチに座ったまま、動かなかった。
「・・・・・・・ですから、私はなにもしていませんよ。これは善意で行っているのですよ?」
男の耳の中に装着されたイヤホンから、人の声が流れ出す。
「ですが、私に見返りを期待しているのではありませんか?」
「そんなことはありませんよ。ただ・・・・」
車の音でかき消されるぐらいの声で、男達は何かを喋っているようだった。
「私達に仕事をくれませんか?あなたの現在の地位なら便宜を図ることも可能でしょう?」
「私が?」
「地方のサッポロ市と言えど、格差は他人事ではないのです。若者は東京に行って帰ってこないし、自衛隊員になる者も多いのですよ。」
「確かに衣食住は保証してくれるでしょうね。」
「ですから我がシング商社の新兵器開発の件をよろしくお願いします。今のままでは社員を解雇しなくてはならなくなってしまいます。」
「善処できるとは思えませんが、できるかぎりは・・・」
「よろしく。」
黒ずくめの男は、立ち上がった。


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